2020年代 運動指針・行動方針

はじめに

青年会議所運動は「明るい豊かな社会の実現」を理念に、人を巻き込む力を身に付けた地域に影響を与えられるリーダーを育て、一人でも多くの同志を増やしていくことで「まちづくり」と、それができる「ひとづくり」であることにほかならない。そのためにまず私たち自身が、現在があることは多くの先人達の尽力によるものだと自覚することで、地域の発展に向けた高い志を抱き、青年なればこその情熱と利他の心を兼ね備えた人材となる必要がある。そして、多種多様な会員の集合体である青年会議所の強みを活かし、社会の変化に対応できる組織をつくりあげ、地域に影響を与え続けよう。

その先にある誰もが住みやすく、誰もが訪れたくなるまちのために

組織の発展に向けて

地域の未来を切り拓く鍵は、「想像力」と「行動力」である。
私たちは、理想的な地域の未来を想像し、本気で行動を起こすことで、地域を創り変えていかなければならない。
そのためには、まず私たち一人ひとりが地域の発展を心から望み、青年会議所での活動を通じて集団指導力と集団運営能力を高め、地域を牽引しうる人材へと成長していくことが重要である。その上で、組織ならではの強みと青年会議所の特性である多様性を活かし、理想のまちづくりに向け、あらゆる地域の課題を行政や市民を巻き込みながら解決していくべきである。
これまで積み上げられた、55 年にも亘る経験値という財産と地域のネットワークを最大限に活かし、今後も時代に先駆けた運動を続けていくことで、青年会議所の地域から必要とされる団体としての地位を確立させ、その運動に関心を持つ同志を一人でも多くすることが私たちの目指すべき姿である。

行動方針

  • JC 運動が人間力の向上をもたらすとともに、会員同士の友情をはじめとした幅 広いネットワークを生み出し、それが自己実現に繋がる機会として捉えてもらう。
  • 地域を牽引できる青年指導者を目指し、会員の能力向上を図る研修プログラムを行う。
  • 会員の多様性を活かした会議運営を行い、緻密な事業計画を練り、より精度の高い事業構築を目指す。
  • 魅力ある事業を開催し続けるために、PDCA サイクルを徹底した組織運営を行う。
  • 青年会議所が地域に必要とされ続けるために、ブランディングの確立と魅力ある組織への成長を目指す。
  • グローバルな視点と利他の心を兼ね備えた、地域のリーダーを一人でも多く増やしていく。

これからのまちづくり

今、災害、犯罪に対する危機管理や環境負荷をはじめとして、少子高齢化による地域の経済成長の停滞など、個人ではなくまちぐるみで解決していかなければならない問題や課題がある。また、各市の賑わいは駅前などの中心部に限られていることから、まちの歴史や文化など、地域それぞれの特性を活かした魅力を広域的に発信することで人の流れを創り出し、まち全体を活性化させ、誰もがこのまちを訪れたくなる魅力を開発する必要がある。
このような様々な課題を解決するためには、行政に「頼る」時代から、市民が「行政を動かす」時代へと進化させ、市民意識を改革しなければならない。
そのために私たちは今まで以上に地域に寄り添い、地域や行政に対して正面から向き合い、持続可能なまちづくりに向け積極的に提言していく必要がある。

行動方針

  • 地域の魅力を高めるために、歴史や文化等、地域それぞれの特性を活かした魅力を発信する。
  • 人と自然が共生する環境負荷の少ない持続可能なまちづくりを行う。
  • 少子高齢化の進行に歯止めをかけるべく、行政と連携し出産から育児まで切れ目のない支援体制をつくり、多子社会の実現に繋がる事業を行う。
  • 地元の企業と市内外の人とを繋げ、地域の経済が成長する事業を行う。
  • 市民一人ひとりの防災、防犯意識を向上させ、地域コミュニティーの維持、向上を図り市民が安心、安全に暮らせるまちにする。
  • 能動的な市民を一人でも多く増やし、市民主導のまちづくりを実現させる。

次代を担う人材育成

5 年後、10 年後の日本社会はどうなっているのか。人工知能(AI)やロボット、 IoT の発展により仕事のあり方が大きく様変わりすることが予測される。
未来への希望を託す貴重な存在である今の子供たちが社会に適応し、更なる発展を目指すには、義務教育以外にも様々な社会体験を通して主体性や創造性を育み、自らの価値や存在意義を肯定できる環境が必要である。
そのために現代の子供たちには、生涯学び続けることの重要性を伝え、物事へ能動的に取り組む力を育む機会が不可欠である。私たちは地域社会に多様性溢れる人間関係を構築し、地域で一体感を持った青少年の育成環境を整え、子供たちに様々な機会を提供することが責務であると認識しなければならない。

行動方針

  • 次代の地域を担う人材を一人でも多く生み出すため、地域への誇りと愛着を育む青少年育成事業を行う。
  • 生きる力を養うために、学校教育や家庭教育では補えない社会教育の一環として、創造性や主体性、自己肯定感を育める青少年育成事業を実施する。
  • 道徳を持ち合わせた、人と社会に貢献できる心身ともに逞しい人材育成の機会を創出する。
  • この先、多文化共生社会が訪れることから、異文化コミュニケーション力やグローバルな視点を持つことの重要性を発信する。
  • 社会人になる前に、どのような能力を身につけることが必要かを考え、その時代に合った青少年育成事業を展開する。

地域のグローバル化に向けて

日々発展する技術の革新により、人、物、情報の流れは地球規模に巡るようになり、インバウンドはもちろん、人口減少などの背景から外国人労働者の受入れも増加の一途を辿っている。またそれに伴う国際的な新たなコミュニティー創出により、地域企業、市民が異文化に触れる機会は加速度的に増加すると考えられる。
このような時代において、国際交流は市民一人ひとりの身近なものとなっており、国や地域の経済発展や世界で活躍できる人材育成のためにも、まずはグローバルな市民を増やしていくなどといった地域の受入れ態勢の整備は急務である。
その一歩として、異文化を分かち合い諸外国との相互理解を一層推進するとともに、その過程において自らの国や地域の歴史や文化を学ぶことでアイデンティティーを明確にし、誇りを持つことが重要であり、多くの人々にその機会を創出する必要がある。
姉妹 JC を含め多くの国に同志が存在する私たちは、積極的に他国との交流を図り、地域に異文化と触れる機会を普遍的に提供し、社会、経済、人材の側面から地域の国際化をリードしていかなければならない。世界規模の課題にも目を向けられる人に溢れ、あらゆる外国人にとっても住みよい環境が整備されている地域を目指すことが、多文化共生が根付いた持続可能なまちを実現させる。

行動方針

  • 地域の国際化のため、まずは私たちが民間外交の担い手として姉妹 JC(温陽 JC、JCI キャピタル)との交流を積極的に図る。
  • 地域経済の発展に貢献するため、姉妹 JC との交流を通して各国とのビジネスにおける連携を図る。
  • 日本と他国を結ぶための架け橋となれる国際人を育成するため、自国の歴史や文化を重んじ誇りを持てるような機会を創出する。
  • 異文化が交流する地域の新たなコミュニティー創造に向け、多文化共生社会を前提とした運動を展開する。
  • 世界規模の課題を身近に捉え、行動を起こす人材育成のため、持続可能な開発目標(SDGs)を活用した事業を行う

おわりに

~私たちの「あり方」~

青年会議所運動が地域や個人に与えられる影響は、無限の可能性を秘めている。その影響力をより大きくするものは、何よりも私たちの「臨む姿勢」である。
私たちが青年会議所運動の本質を理解し、主体的に行動を起こすことでより良い組織へと成長し、運動は大きな推進力を持つ。そのうえで、社会に対して一石を投じ続ければ、必ずや魅力溢れる明るく豊かなまちへと近づくだけでなく、その過程は自身や周囲の発展にも繋がっていく。
私たちは 5 年後の未来のために、この「運動指針」「行動方針」の下に志高く行動していくことで、はじめてここに掲げた未来は実現する。

~ 5 年後の未来~

私たちが思う理想のまちの姿を思い浮かべてほしい。
市民主導型のまちは、地域ネットワークが充実し、市民同士はもちろん外国人との交流が当たり前に行われ、多くの人々で賑わいを見せる、魅力ある多文化共生社会の実現のもとに誰もが住みよいまち。
地域の国際化によるグローバルビジネスも見据え、次代を担う子供たちが社会で活躍できるための社会教育が充実したまち。
私たちも、地域企業もグローバルな視点を持ち、雇用や取引先を世界に広げ、経済が発展しているまち。
これこそが私たちの目指すべき理想のまちではないだろうか。
今一度、一人ひとりが自分自身と組織の「あり方」を考えなくてはならない。そして、組織として団結し、気概をもって運動を起こす。

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