創始の精神
「新日本の再建は我々青年の仕事である」
この言葉は東京青年会議所、設立趣意書の一文で、この言葉に共感した若者たちが集い、日本の青年会議所運動が始まった。
戦後の焼け野原の中、自分たち自身も戦争の被害者であるにもかかわらず、当時の若き青年たちは、何としてもこの日本を立て直す、敗戦国となった日本を国際社会に復帰させるという我が国への強い想いと責任感を持っていた。設立した時代と今では全く環境は違い、「今日食べるものがない」「明日は生きられるか」という不安のない環境で生きる私たちには、創設者たちのような使命感を持つことは難しいかもしれない。しかし、誰もが同じように戦争の被害者であり、皆、余裕があったわけではないなかで、自分自身のことよりも日本の未来を想い、行動した 20 代の若者たちがいたことを思い浮かべてほしい。
私たちの JC 運動はなんのための JC 運動なのか。裕福な今だからこそ「創始の精神」は絶対に忘れてはならない。JC メンバーのプライドは、この「創始の精神」である。
豊富な財産に頼らず、新たな価値を生み出す
2019年4月30日に平成という一つの時代が終わり、新しい時代が始まる。今、私たちは社会の中心にいる世代で、時代の変わり目にいられることは幸せなことだと思っている。それだけではなく、この時代が変わるタイミングで、立川青年会議所の理事長の仕事をさせていただけることに何か運命のようなものを感じてならない。
立川青年会議所のJC運動が始まって今年で55年を迎える。私がこれまで多くの経験をさせていただいた中で、立川青年会議所は組織のガバナンスや仕組みが構築されており、ここで得た知識や経験はどこへいっても恥ずかしくない、学びのある組織である。
しかし今、私たちがスムーズにJC活動ができるのはなぜだろうか。突然降って湧いたようにできた仕組みではなく、多くの先輩方が立川青年会議所で汗をかいて、衝突を恐れず意見をぶつけあい、議論を重ねて作ってきた豊富な財産があるからだと強く感じている。しかしその財産も、もう僅かである。
新時代の幕開けとともに、これから社会はもっと変わる。それは私たちが想像しているよりも早いスピードで変わっていく。生まれた時からスマートフォンが手元にある世代がどんどん社会に進出し、私たちには想像もできない新しい考えや技術が生まれ、仕事も働き方も、変わるだろう。それだけにはとどまらず、これまで常識とされていた考え方も変わり、新しい社会が作られてくる。私たちはこれまでの財産だけでJC運動をするのではなく、新しい情報を集め、自らがもっと学び、グローバル社会の多様性を捉え、それを認められる感受性を養い、創意工夫する創造力を持つことが必要である。さらに、人の心を揺さぶり、人を行動に駆りたてる力を与えられる地域のリーダーにならなければならない。立川青年会議所で多くの青年によって築かれた54年の歴史の価値を考え、新しい社会に向けた、新たな価値は何かを追求していく必要がある。
大きな夢を持つ
私たち立川青年会議所のメンバーは、JC運動での夢や目標があるのかと問われた時、即座に答えられるだろうか。それよりも、JC運動で夢や目標を持てているか。私は、もっとJCを通じて大きなことにチャレンジできるはずだと思っている。そもそも、JCの理念や目的を理解しなくてはならない。目の前にある事業のことだけを見ていては、JCの本質を捉えきれないはずだ。しかし、失敗を恐れるあまり、大胆さが欠けるように感じている。
チャレンジをすることは、失敗する確率も高くなるが、チャレンジしなければ失敗することはない。ただし、成功を掴むことはできない。JCは青年経済人の団体である。つまり、夢を持たず、チャレンジもせず、現状を維持することは、プラスにはならないのだ。
JCでは失敗を受け止めてくれる場所がたくさんある。失敗をリカバリーしてくれる優秀な仲間がたくさんいる。こういう環境に身を置いているのであれば、大きな夢を持ちどんどんチャレンジするべきだ。今しかできないことを大事にしてほしい。若者らしく失敗を恐れず、大きな夢を掲げてポジティブにチャレンジをする、そういう精神を持った人材がいるから、青年会議所はとても魅力的な組織であるのだ。